映画「沈黙サイレント」のレビュー


こんにちは。
WEBLICの坂本です。
先日、先輩に薦められていた映画「沈黙」を早速レイトショーで見てきました。

■公式サイト
http://chinmoku.jp
遠藤周作原作で海外の監督が映画化したということでメディアで話題にはなっていましたが、当日映画館はガランとしてました。。まぁ、先月21日公開なので時間も経ってますし、テーマも重いですしね。個人的に館内ほぼ貸し切り状態で見れて満足でした。ゆっくり観たい人はベストタイミング^_^

さて、あらすじは公式サイトにありますので省略して、興味深い映画だったので少し感想まとめます。

テーマは宗教とか信仰とか人の拠り所とか、、かな?。遠藤周作の小説は基本的には一貫してこのテーマがあるように思います。今回の作品はその後の作品の流れを方向づける代表作なんでしょうね。小説「深い河」も似たテーマで書かれてますし。
この映画を見て、捉えどころが難しいと思ったのは、キチジローを通して何を伝えたかったかでした。映画では、割りと分かり易くテーマ上の役割を描いていましたが、この人物については遠藤周作的にはもっと複雑な思いがあったのではないか?と気になるところです。

キチジロー(演じる窪塚洋介はやっぱり名役者^_^)は信仰を何度も裏切り、その都度、宣教師に許しを乞う弱い人間として描かれてます。信仰深い主人公の外国人宣教師に自身の弱さを見せつけるように。もしかして遠藤周作は自分自身をキチジローと捉えて作品を書いたんじゃないかとも思ったりもしました。さらにキチジローの後半に見せる最後の決心は何だったのか?ここは何か遠藤周作的な答えがありそうだと勝手に憶測してます。。


もう一点、捉えどころが難しかった点として、宗教やキリスト教への信仰も自分自身は持っていないので(もっていないと思っているだけかもしれないですが、、)、宣教師たちの葛藤が自身の経験に投影しづらく、前半はキリスト教を信仰している登場人物の想いや感情を深く共感できなかったですね。

ただ、ストーリーが展開していくにつれて感じたのは、一貫して宗教や信仰とは何なのかというテーマを描きつつ、根底では遠藤周作自身の日本の宗教観、文化的思想、生き様とは何なのか? というテーマが流れているように思い、テーマの中にだんだん引き込まれました。

海外宣教師たちから見た日本人(異文化)信者のキリストへの信仰に対しての違和感。日本人側から見た外国人宣教師たちの信仰への違和感。その狭間で揺れ動く当事者たち。
現代も遠藤周作の抱くテーマがもろにあてはまります。結局、世界はどう分かり合えるのか? 分かりあえないんじゃないか? そもそもわかり合う必要は無いのかも?などなど。。

さらに、信仰というテーマは私達の携わるITの仕事を考える上でも近いテーマ性があると思ってます。今後のロボットやAIの議論などは近いものがあると思ってます。もっと真剣に議論をした方がいいと常々思っています。

映画の内容としては遠藤周作のテーマ性に対してのアピールがもう少し強く出しても良かったかなぁと思いましたが、長編映画の間延びした感じは無くあっという間の3時間でした。
オススメです。

篠田監督の「沈黙」も良さそう。。

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